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グレンファークラス12年の味評価・カスクストレングスとバッチ2も魅力

グレンファークラス12年・スペイサイドでもハイランドウイスキー

「グレンファークラス12年(Glenfarclas Aged 12 Years)」はスコットランドの北東部スペイサイドにある、グレンファークラス蒸溜所が造っているシングルモルトウイスキーです。

 

地理的にはスペイサイドもハイランドに入るので、スペイサイドのウイスキーでもハイランドを名乗る銘柄がありますが、グレンファークラスもハイランドウイスキーとして販売されています。

 

「グレンファークラス(Glenfarclas)」はゲール語で、英語にすると「Valley of the Green Glass」、つまり「緑の草の生い茂る谷間」を意味します。

 

グレンファークラス蒸溜所の画像
Glenfarclas Distillery グレンファークラス蒸溜所
photo credit: markvall Glenfarclas Distillery via photopin (license)

蒸溜所の裏には標高814メートルのベンリネスの山がそびえ立ちます。

 

ウイスキーの仕込み水に使われているのはベンリネス山の雪解け水がピート(泥炭)層を通り抜けて、花崗岩の下へ深く浸み込んでわいてくる湧き水。

 

柔らかく少し酸味を含む水質が、ウイスキー造りに最適なんですね。

グレンファークラス蒸留所、こだわりの直火炊きポットスチル

グレンファークラスの原酒はガス直火炊き型の銅製ポットスチルで蒸留されます。

 

もともとスコットランドでは石炭直火蒸溜が主流でした。この方法は力強く、複雑で豊かなフレーバーが生まれやすいのが特徴と言われます。

 

しかし、効率や作業コストの問題から多くの蒸留所がガス直火蒸溜になり、さらにガス間接蒸溜(スチーム過熱)へと変わっていきました。

しかし、グレンファークラス蒸溜所では間接蒸溜では味わいが変わってしまうという理由からガス直火炊きにこだわり、今でもオリジナルのポットスティルが復刻されて使われています。

 

ちなみに、世界でいまだに石炭直火蒸溜にこだわっているのは日本のニッカウヰスキー・余市蒸溜所だけとなっています。

シェリー樽の風味を引き出す1880年代の熟成庫

グレンファークラスの熟成にはシェリー樽とホワイトオーク樽が混合で使われています。

 

ホワイトオーク樽はアメリカ産で容量250リットルのホグスヘッド。

 

シェリー樽はスペインのアンダルシアでオロロソの熟成に使われていた容量500リットルの樽が使われ、ファーストからサードフィルまでの樽が使い分けられます。

 

理想とする味わいを求めるその取り組みはシェリー樽の良質なシングルモルトを生み出す、マッカランのライバルとも言われるほど。

 

貯蔵庫にも伝統的なこだわりがあり、樽はダンネージと呼ばれる1880年代に造られた熟成庫で熟成されるんですね。

 

外壁は厚い石の壁、床は土間で熟成に適した湿度を保つよう工夫されています。

 

とはいえ、すべてが伝統的というわけでもなく、醗酵槽をステンレス製にするなど近代的な蒸留技術も必要なら取り入れているようです。

グレンファークラス12年と10年の度数・価格

「グレンファークラス12年」はグレンファークラスの中でも特に人気の銘柄で、スタンダードとしての位置づけにあるボトルです。

 

ピートによるスモーキー・フレーバーもしっかりありながら、シェリー樽熟成の豊かなコクと華やかな香り、甘さが特徴。

 

上品なマッカランと比べるとアルコール感は強めです。

 

グレンファークラス12年はアルコール度数が43度とやや高く、容量700ml。あくまでも記事アップ日の価格ですが、今日現在の安い価格帯は3,500円ほど。

 

並行輸入品では43度・1000mlもあり、同じ3,500円ほどの販売店もあるので1000mlのほうが日本では人気となっています。

 

ベン・ネビス山の画像
Ben Nevis スコットランドのベン・ネビス山

ちなみに、「グレンファークラス10年」はアルコール度数40度・700ml。参考までに記事アップ日の価格帯は2,700円ほど。

 

数年前は12年も10年も価格差がほとんどなかったのですが、10年のほうがお買い得価格まで下がってきました。

グレンファークラス12年のレビュー評価

グレンファークラス12年の一般的な評価からまずはマイナス評価を指摘する感想をあげてみます。

 

「12年熟成と思えないほどアルコールの刺激が強い、ちょっと癖のあるシングルモルト」

「ニューボトルに変わってやさしい味になった。前のボトルの味が好き」

「悪くないが、お気に入りになるほどではなかった」

「シェリーの感じはよく出ているがちょっと甘すぎるし、濃い」

 

支持するレビューは以下の通りです。

 

「甘い香りと相反する辛口な味、くどすぎずさっぱり。しかし余韻は心地よく伸びる」

「レーズンやハミチツの香り、あとビターチョコのような苦みも少々感じられるリッチなスコッチ」

山崎12年を飲んでる方には、これはおススメできる」

「さまざまなグレンファークラスのウイスキーのなかで、12年が私のお気に入り」

「18年のグレンファークラスよりも好き。滑らかでおいしい」

「素晴らしいシングルモルトがお得な価格」

「王道と称されるマッカランよりもシンプルで力強い」

 

支持する方のなかには価格以上の品質という感想をあげる方も多いですね。

 

最近はスーパーのOKでも販売されていますし、注目されて高騰してしまう前に抑えておきたい銘柄です。

カスクストレングス12年バッチ1・バッチ2の度数・価格

グレンファークラス12年には数量限定の「カスクストレングス・バッチ1とバッチ2(Glenfarclas Cask Strength Batch1・Batch2)」があり、こちらも人気です。

 

バッティング後の加水前というタイミングで、ノン・チルフィルターとノン・カラーリングによってボトリングされているので、グレンファークラスの自然なクセも楽しめるカスクストレングスです。

 

バッチ1は59.9度・700mlで記事アップ日の安い価格帯では9,200円ほど。

 

バッチ2はややアルコール度数が抑えられて58.3度・700ml。こちらも記事アップ日の安い価格帯で8,600円ほど。

 

力強いグレンファークラス12年をさらにパワフルに楽しみたい方向けです。