「シングルモルト余市(Single Malt Yoichi)700ml」はニッカウヰスキーの北海道余市蒸留所で造られた原酒によるノンエイジのシングルモルトウイスキーです。
ハイボールブームに続いて海外でのジャパニーズウイスキーの人気、さらにドラマ「マッサン」ブーム。
ドラマのモデルとなったニッカウヰスキーでは需要の高まりがピークに達した結果、シングルモルトの原酒が枯渇しかねないほどの深刻な状況となりました。
![taketsuru masataka・rita 竹鶴政孝氏と妻リタさん](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/none/path/scdc847a1e0eae9fc/image/i57bd123aa643455e/version/1532649949/taketsuru-masataka-rita-%E7%AB%B9%E9%B6%B4%E6%94%BF%E5%AD%9D%E6%B0%8F%E3%81%A8%E5%A6%BB%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%81%95%E3%82%93.jpg)
そこで、2015年8月で全ラインナップを廃止。終売によって商品アイテムを集約することで原酒供給の安定化と製造効率を高めて、竹鶴などの主力商品を増産する体制がとられています。
ゴールドニッカの系譜を受け継いだG&G(ゴールド&ゴールド)も終売となりました。ボトルデザインが丹精だった黒ラベル。買っておけばよかったと個人的には後悔しています。
余市では「10年」「12年」「15年」「20年」がなくなり、存続した余市ブランドがこのノンエイジ。ちなみに、最近は「年数表記のないノンエイジはよく「NA」と略されますね。
余市蒸溜所でつくられるモルトの特徴は「石炭直火蒸溜」から生まれる力強さ。重厚でコクのあるモルトを生み出す、ストレートヘッド型と呼ばれます。
石炭直火蒸溜に関する解説はこちら>>>「竹鶴ピュアモルト」
とはいえ、廉価だったシングルモルト余市と同じ名前で値段は約倍近く。風味もこれまでの10年と比べると色味は薄く、クリミーさ、バニラの香りも低く感じられます。
新しい余市をこれまでと路線の違う「スパイシーで爽やかなライトなウイスキー」としてとらえれば美味しいと感じる人もいるでしょう。しかし、今まで慣れ親しんできた余市のファンからはこれとは違うという声もあります。
一般的な評価でもはっきりと二分化していますね。旧来のニッカ党、余市ファンからは「フロムザバレルで良い・期待はずれ」という手きびしいレビュー。
いっぽうで、あくまで現行余市だけを判断しての「ストレートでつまみなしで味わえる・クセがなく美味しい・バランスもよく上出来」という高い評価もあり、実際に通販でも人気上位となっています。
価格面だけをみると「ニッカはサントリーより安くていい」というレビューもあります。蒸留所の名前を冠するだけに、旧シングルモルト余市に感銘を受けた人も納得できるものを飲みたいというのがファンの気持ちでしょうね。
![Yoichi Distillery 余市蒸留所](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/none/path/scdc847a1e0eae9fc/image/i4aa8aa96b213ff5c/version/1532149937/yoichi-distillery-%E4%BD%99%E5%B8%82%E8%92%B8%E7%95%99%E6%89%80.jpg)
現行ボトルの飲み方は好きな人なら、ロックかハーフロック(氷を入れたグラスにウイスキーと水を1:1で注ぐこと)。方向性が違うと感じたらハイボールでしょうか。
余市蒸留所限定品の「1980's」「1990's」「2000's」もあり、通販でもちらほらと見かけますが、価格は高価ですね。