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グレンファークラス12年 直火炊きスチルと香り高いシェリーの味わい

グレンファークラス蒸溜所の歴史

「グレンファークラス12年(Glenfarclas)」はスコットランドの北東部スペイサイドにある、グレンファークラス蒸溜所が造っているシングルモルトウイスキーです。

 

1836年にロバート・ヘイによって設立され、その後、1870年に近隣農場主だったジョン・グラントと息子のジョージが蒸溜所を購入。

 

当初はジョン・スミスにリースしていましたが、彼が1870年になってクラガンモア蒸溜所を設立したため、自分たちで蒸溜所の運営を始めます。それ以来、グレンファークラスは数少ない家族経営による蒸留所として、伝統の方法を守り続けています。

Glenfarclas Distillery グレンファークラス蒸溜所
Glenfarclas Distillery グレンファークラス蒸溜所
photo credit: markvall Glenfarclas Distillery via photopin (license)

自らの個性を尊重する伝統の家族経営スタイル

現在のアルコール生産能力は年間350万リットルと大規模な生産量ですが、他の業者に樽を売らないため、ブレンデッドのキーモルトやボトラーズには使われていません。

 

業界オブザーバーや専門家たちが同ファミリーの経営方針を時代遅れとか、無駄が多いなどといった意見をすることもあるようですが、断固とした独立経営で耳を貸すこともないのだとか。

 

ちなみに、すぐ近くにグレンフィディック蒸溜所があります。こちらも同姓のグラント家で家族経営を貫くスタイルですが、同じ家族ではありません。

 

グレンファークラス12年の風味の特徴を生み出す水

「グレンファークラス(Glenfarclas)」とはゲール語。英語にすると「Valley of the Green Glass」、つまり「緑の草の生い茂る谷間」を意味します。

 

蒸溜所の裏には標高814メートルのベンリネスの山がそびえ立ちます。グレンファークラスの紹介ではベンリネスという呼び方で紹介されますが、ネットで山の名前を探すとベン・ネビス山と紹介されています。

 

ベンリネスは英語ではベン・ネビス山(Ben Nevis)となっているんですね。スコットランド文化が日本語訳されたとき、このように二通りの読み方で紹介されることが多々あり、表記が混在しているのがよく見られます。

このベンリネス山は地元住民や登山家には「ザ・ベン」として知られていて、登山者は年間10万人。高さ700mを誇る北壁は多くのクライマーや登山家に人気で、幅広い難易度のスクランブリング(ザイルを使わず頂上を目指すスポーツ)やロッククライミングルートがあります。

 

ヒースに覆われているベンリネスは秋には紫色となり、冬の雪解け水がピート(泥炭)層を通り抜けて、花崗岩の下へ深く浸み込みます。

 

このやわらかく純粋な湧き水は柔らかく、ほんの少し酸味を含むウイスキー造りに最適な仕込み水となります。

 

豊かなフレーバーの原酒をつくる直火炊き型の銅製ポットスチル

グレンファークラス12年の原酒はスペイサイドでは最も大きい、6基のガス直火炊き型の銅製のポットスチルで蒸留されます。

 

もともとスコットランドでは石炭直火蒸溜が主流でした。力強く、複雑で豊かなフレーバーが生まれやすいのが特徴と言われます。しかし、効率や作業コストの問題からガス直火蒸溜になり、いまは多くがガス間接蒸溜に変わってきています。

 

しかし、グレンファークラスではガス直火炊きの工程だけは変えることなく続けられています。ちなみに、世界的に見ても、いまだに石炭直火蒸溜にこだわっているのは日本のニッカウヰスキー・余市蒸溜所のみになりました。

 

シェリー樽の風味を引き出す1880年代の熟成庫

グレンファークラスのもうひとつの特徴は、熟成に使うシェリー樽と貯蔵庫。スペインのアンダルシアでオロロソ(シェリー)の熟成に使われていたもので、容量500リットルの樽(バット)が使われます。

 

樽はダンネージと呼ばれる1880年代に造られた伝統的な熟成庫で熟成されます。外壁は厚い石の壁、床は土間で、熟成に適した湿度を保つよう工夫されています。シェリー樽熟成のシングルモルトとして、マッカランのライバルとも言われます。

 

ダンネージスタイルの貯蔵方法の解説はこちら>>>「イチローズモルトホワイトラベル」

 

「グレンファークラス12年」はシェリー樽由来の甘い香りが特徴ですが、上品なマッカランと比べるとアルコール感も強めで重厚な印象を受けると思います。

 

テイスティングレビューは高評価、10年と価格差も僅かなので12年がおすすめ

アルコール度数43度・700mlで、価格は送料入れずに3,500円前後。ちなみに、「10年」になると、アルコール度数40度・700mlで、価格は送料入れずに3,000円台前半の価格。

 

価格差は僅かなので12年のほうがおすすめです。実際に両者をくらべると10年のレビューはごくわずかで、圧倒的に12年のレビューが多いことがよくわかります。

 

Ben Nevis スコットランドのベン・ネビス山
Ben Nevis スコットランドのベン・ネビス山

 

12年の一般的な評価は「甘くおだやかな味でコクがあり飲みやすい」「華やかな香りがあって飲みやすい」「ちょっと離れていてもプンプン香ってくるぐらい香り高い」「ソーダ割りとの相性はかなり良い」「マッカランの半値以下でこの品質。文句のつけようがない」など、かなり高評価のテイスティングレビュー。

 

いっぽうで反対の感想としては「アルコールの刺激が強い」と感じる方もいます。

 

グレンファークラスの種類には10年、12年、15年、17年、18年、25年、30年、そのほかにノンエイジの105、ドイツ向け限定ボトルなどいろいろありますので、いずれ種類ごとに取り上げてみたいと思います。