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グレンフィディックエクスペリメントIPAカスク ビール樽熟成の評価

グレンフィディックエクスペリメンタルIPAカスクの特徴

グレンフィディックで実験的・試験的な試みとして生み出されたエクスペリメンタルシリーズの第1弾「IPAエクスペリメンタル・インディアペールエールカスクフィニッシュ(Glenfiddich IPA)」の特徴や評価について紹介します。

 

特徴は蒸留所のあるスペイサイド地方にあるクラフトビールメーカー「スぺイサイドクラフトブリュワリー」のIPA(インディア・ペールエール)を寝かせたビール樽を熟成に使っていること。

 

ご存知の方は多いと思いますが、ビールは通常、出来たての若いビールを0℃くらいの低温貯酒タンクで数十日間熟成させて、味と香りをつけていきます。

 

グレンフィディック蒸留所の画像
グレンフィディック蒸留所

原酒熟成樽→原酒抜き出し→ビール→抜き出し→原酒を再熟成

ウイスキーの熟成にビール樽を使う場合は、ビールを木樽に詰め変えて風味をつけてからその樽を使うという手間のかかる工程をとります。

 

IPAエクスペリメントを熟成させる順番

1.アメリカンホワイトオークの樽でグレンフィディックの原酒を熟成→取り出す

2.空いた樽でIPAを1ヶ月熟成→取り出す

3.空いた樽でふたたびグレンフィディックを12週間熟成

インディア・ペールエールとはどんなビール?

インディア・ペールエールはペールエールというビールの種類のひとつ。同名のビールは数多く、日本の地ビールメーカーも販売しています。

 

このビールの由来は18世紀末、インドがイギリスの植民地だったころ、インドに滞在するイギリス人用にペールエールを送るために造られたのがきっかけでした。

 

海上輸送中、傷まないように防腐剤の役目を持つホップが大量に投入されたため、香りと苦みが非常に強いのが特徴。アルコール度数は中程度か、やや高めで銅のような明るい琥珀色をしています。

 

ホップの画像
Hops ホップ

IPAカスクの風味評価と価格

ウイスキーの色はIPAが反映したきれいなゴールドで、飲んでみるとIPA独特の強い苦味は抑え気味なのがわかります。

 

グレンフィディックらしいフルーティな甘酸っぱさ、柑橘系の香りの中に、軽くIPAのビール香が上乗せされている感じなので邪魔にはなりません。

 

一般的な評価でも「ビール由来の苦みをほんのり感じる」という程度で、その風味をマイナス評価とする感想もなし。ちょっと個性的なグレンフィディックとしてとらえられている印象ですね。

 

IPAカスクはアルコール度数43度・700mlで、相場価格には幅があります。記事アップ日の時点での最安値(税込)は6,800円ほどになっています。

IPAカスクの試みはイチローズモルトでも

IPAカスクといえばイチローズモルトから「秩父IPAカスク・フィニッシュ2017」が販売されています。こちらは57.5度・700mlで最安値でも36,000円ほどとプレミアム価格。

 

IPAではありませんが、ビール樽を使ったウイスキー銘柄はほかにもあります。濃厚な味わいの黒ビール「スタウトビール」の熟成樽を使っている、アイリッシュウイスキー「ジェムソン」「カスクメイツ」

 

また、日本限定版で手の混んだ工程で熟成される「カスクメイツ東京エディション」もあるので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。