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キリンウイスキー富士山麓 樽熟原酒50度・原酒の旨みをそのままに

「キリンウイスキー富士山麓 樽熟原酒50度700ml(kirin Fujisanroku Tarujukugenshu)」は、キリンビールが1972年に独自のウイスキー哲学と製法・技術をもつ米シーグラム社、英シーバスブラザーズ社と合弁会社をつくって設立した静岡県にある富士御殿場蒸溜所で造っています。

 

仕込みからボトリングまでを一貫して行うという、世界でもあまり類を見ない蒸溜所。

 

富士御殿場蒸溜所ではモルトウイスキーだけではなく、世界的にも珍しい3種の蒸留器を使って、多様なグレーンウイスキーもつくっています。

 

gotemba 静岡県御殿場市
gotemba 静岡県御殿場市

 

「キリンウイスキー富士山麓 樽熟原酒50度700ml」の特徴は、大きくあげて2つ。ひとつは樽熟成した原酒をそのまま使っていること。

 

モルト原酒のアルコール度数を50度、グレーンウイスキーの一つにはバレル(180L小樽)熟成させたアルコール度数55度の原酒を使用して、ブレンドした原酒が50度になるように調整されています。

 

初心者の方にはわかりづらいので、かんたんに解説します。一般的なブレンデッドウイスキーはモルト原酒同士をブレンドするときに、グレーンウイスキーを使います。

とうもろこしが主原料で性質のおだやかなグレーンウイスキーを使うことで、それぞれのモルトの特徴や個性を引き出すんですね。

 

熟成に使われる樽は、蒸溜所ごとの伝統や理念からくるこだわりがあります。大きさで一般的なのがバッツ樽(約500リットル)、ホッグスヘッズ樽(約230リットル)。

 

しかし、富士御殿場蒸溜所では小さなバレル樽(約180リットル)を使っています。これは北米産のホワイトオーク材で、バーボンウイスキーやスコッチウイスキーの熟成に使われた古樽。

 

 

木の生臭さや雑味が原酒に移らないように、内側が焦がされています。小樽は原酒と樽の触れ合う表面積が大きくなるため、樽の香りと色を十分に抽出できる利点があります。

 

とはいえ、樽が小さくなればなるほど、樽の数は多くなり手間も増えるのでたいへんです。では、なぜ樽熟原酒をそのまま使うのか。

 

一般的にウイスキーはアルコール度数60度以上で樽詰めされ、熟成、ブレンドされたあと、びん詰めのときに製品のアルコール度数まで水でうすめて調整されます。

 

 

forest 森
forest 森

 

このとき、アルコール度数が急激に下がると溶け込んでいた香味成分が分離して出てきてしまうんですね。樽熟原酒そのままなら心配ないわけです。

 

特徴のふたつめは「ノンチルフィルタード製法」。くわしくは下の記事で解説しているので省きますが、冷却ろ過を行わずにびん詰めする方法でうまみ成分を逃がさない製法のことです。

 

ノンチルフィルターの解説はこちら>>>「オランチア ハンドクラフテッドジン」

 

 

「キリンウイスキー富士山麓 樽熟原酒50度」は、このようにふたつの合わせ技で旨味が引き出されています。

 

 

私が以前にいただいたときには、口を開けた直後の樽の香りが印象的でした。50度なのでどうかと思いましたが、ストレートで飲んでみると40度のウイスキーよりもちょっと度数が高いかなと感じるくらいのなめらかさ。

 

樽熟の深みはそれほどないのですが甘みがあって、最後に軽いバーボンを思わせる香味が感じられました。

 

このあたりは度数調整をしているグレーンウイスキーの個性が出ているのでしょう。私の飲み方は最初はストレート、そのあとは濃い目のハイボールでした。

 

この価格帯で樽の香りを楽しみたいという方におすすめします。