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スペイバーン コスパ人気の高い蒸留所が造るスペイサイドモルト

スペイバーン蒸留所・コスパ評価高のスペイサイドモルト

「スペイバーン(Speyburn)」はスペイサイドのローゼス地区にあるスペイバーン蒸留所が造っているシングルモルトウイスキーです。

 

今回はスペイバーンの種類からスタンダードの10年、15年、 21年、ブラダンオラック、信濃屋「スペイバーン2004」の銘柄の特徴と魅力を紹介します。

 

スペイバーンとはゲール語で「スペイ川」という意味で、蒸留所はスペイ川の中流に立地していますがラベルは「ハイランド」表示となっています。

 

スペイバーンでは原酒がボトラーに供給されることが非常に少なく、シングルモルトも少ないため、日本ではマイナーな蒸留所という印象もあります。しかし、ブランド名にこだわらなければ、コスパ的にも評価が高いため、実は隠れた人気のある銘柄なんですね。

 

スペイバーン蒸留所の画像
スペイバーン蒸留所
photo credit: martyn jenkins 2013-05-03 006 Speyburn Distillery via photopin (license)

スペイバーン10年・15年の特徴

スペイバーン10年は柑橘系の甘酸っぱい味わいが特徴。両者のバランスがよく、スペイサイドらしい穏やかな飲み口なので、女性やウイスキー初心者の方にも比較的飲みやすいスコッチです。

アルコール感が強めに感じる方には、加水で甘味が強めに感じられてくるトワイスアップ(氷なしで水と1対1で割る飲み方)がおすすめです。アルコール度数40度・700mlで記事アップ日の最安値(税込)では2,800円ほど。

 

15年はやや若さが感じられる10年に比べると、さらにシェリー樽の熟成感が高められているため、レーズンやナッツのような甘い香りとまろやかな口当たりが特徴。

 

より豊かなコクと丸みを楽しめます。アルコール度数はちょっと高めの46度で700ml、記事アップ日の最安値(税込)は1万円ほど。

ブラダンオラックの特徴

21年は残念ながらすでに通販では見当たらないようなので、オークションサイトで探すしかないですね。

 

続いてノンエイジ(NAS)のブラダンオラック(Speyburn bradan orack)。ブラダンオラックとはゲール語でゴールデン・サーモンを意味します。 

 

スペイ川はハイランドの3大河川のひとつで全長約160km、スコットランド一の急流と言われます。遡上するアトランティックサーモンを狙うサーモンフィッシングのメッカでもあります。

 

ブラダンオラックのラベルにはスペイ川のサーモンが描かれ、パッケージともゴールド仕様になっています。もともと免税店向け商品でしたが、現在は通販でも購入できます。アルコール度数40度・700mlで、最安値(税込)は2,700円ほど。

知る人ぞ知る、信濃屋オリジナル「スペイバーン2004-2017」

このほかに酒販店の信濃屋が実現させた「スペイバーン2004-2017」という銘柄があります。蒸留所所有の樽から世界初のプライベートカスクとして発売されました。

 

2004年ヴィンテージでファーストフィルのシェリーカスクに12年以上熟成され、蒸留所の創業120年目にボトリングされたという原酒です。

 

アルコール度数52.5度・700mlで、最安値(税込)は16,956円ほど。現在、通販では楽天に残りわずかという希少品です。

スペイバーンとサントリー白州の関連とは

スペイバーンを調べていると、サントリー白州が関連ワードとして表示されます。これは白州が好きだという方が「白州以外の選択肢」として取り上げた銘柄のなかに「スペイバーン10年」が入っていたことに由来するようです。

 

白州よりもはるかに安く、コスパ的に優れているということで、静かな反響が広がったようですね。興味のある方はくらべてみてください。

スペイバーン蒸留所の歴史

スペイバーン蒸留所は1897年にジョン・ホプキンス社の子会社により建てられました。ローゼスの町を抜けて幹線道路から脇道の林道に入ったところにある、白壁の美しい建物です。近くにはグレンロセス、グレングラントもあります。

 

スペイバーン蒸留所が建設された1897年はヴィクトリア女王の在位60周年にあたる年。どうにか間に合わせようと未完成の建屋で作業をした結果、ギリギリ1897年蒸溜を名乗れるウイスキーがわずか一樽分だけできたのだとか。

 

設計者は19世紀終わりから20世紀初めにかけて活躍した、蒸溜所設計のスペシャリスト、チャールズ・ドイグ氏。

 

建物の壁はスペイ川の河床から「人間と獣によって掘り出された」石で建てられたという地元の伝説もあるようですね。

 

サーモンの画像

 

彼が関わった蒸溜所は正確には100箇所ともいわれますが、同蒸留所はその中でも傑作との評判が高く「これほどまでに風景と調和して建てられている蒸留所は他にはない」と言われるほどの評価を得ています。

 

また、1900年当時、まだフロアモルティングが主流だった時代に初めてドラム式モルティングを導入。省スペースで、モルトをひっくり返す作業も少なくなるという利点がありました。

 

現在の製麦は業者からの買い入れとなりましたが、歴史的な価値が高い設備として保存指定を受けています。

 

蒸留所は1991年にインバーハウス社(親会社はタイ最大のアルコール飲料メーカーであるタイ・ビバレッジ社)に売却され、現在も同社の所有となっています。