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プリマスジン・200年の歴史が香る甘味まろやかな伝統蒸留

「プリマスジン(Plymouth Gin)」はイングランド南西部のデヴォン州にある港湾都市、プリマスのバービカン地区にある「ザ・プリマスジン蒸留所(The Plymouth Gin Distillery)」が造っています。

 

1793年の創業以来、200年以上という歴史があり、現在イングランドで稼動している中では最も古い蒸留所です。

 

プリマス・ジンはイギリスのジンの中で唯一EU(ヨーロッパ連合)の規定の中で地理的表示が認められています。つまり、プリマスの旧城壁に囲まれた地域の中で蒸溜されるものだけが、プリマス・ジンと呼ばれます。

 

Plymouth イングランドのプリマス
Plymouth イングランドのプリマス

 

プリマスジンの現在のラベルは、1620年にプリマス港から出港したメイフラワー号。その歴史を解説します。16世紀、エリザベス1世がイングランド国教会を確立後、17世紀にかけて教会の改革を主張する清教徒が勢力を持ちます。

 

やがて、国教会から分離を求めるグループは分離派と呼ばれ、弾圧を受けはじめます。そのため、1620年になり、信仰の自由を求めたピルグリムファーザーズ(巡礼始祖)102人がこのプリマスの地からメイフラワー号に乗って北アメリカ大陸を目指しました。

 

そのピルグリムファーザーズがイギリス最後の夜を過ごしたのが、プリマスジン蒸溜所の建物。現在も残る古い部分は1431年にドミニコ会が建てた修道院の一部です。

同蒸留所は別名ブラックフライヤーズ蒸留所(Black Friar Distillery)としても知られていますが、これはローマ・カトリックのドミニコ修道会の修道士(Friar)が黒のマントを羽織っていたことに由来しています。

 

上陸地は1614年にジョン・スミスが発表した地図で「ニュー・プリマス」と名付けられた地域。のちの1741年、エルダー・トマス・フォーンスという老人の証言から、ピルグリムファーザーズが最初に踏みしめた岩が「プリマス・ロック」とされて現在も残っています。

 

彼らはキリスト教徒にとって理想的な社会の建設をめざしました。ところが、イギリスから持ってきた野菜や小麦は収穫にとぼしく、翌1621年の4月までに半数ほどが病死。先住民族との対立や戦争など、理想とはほど遠い50年以上もの過酷な運命をたどることになります。

 

Plymouth Rock プリマス・ロック
Plymouth Rock プリマス・ロック

 

「プリマスジン(Plymouth Gin)」の風味は創業の1793年から伝わるレシピ。口あたりの良さとかすかな甘味を感じるなめらかな風味が特徴です。

 

ボタニカルはジュニパーベリー、レモンとオレンジの果皮、アンジェリカやオリス(におい菖蒲)の根、カルダモンやコリアンダーといった伝統的な7種類。本物志向の世界中のバーテンダーからカクテルベースとして高い支持を集めています。

 

1896年「ドライ・マティーニ」のオリジナルレシピに使われたり、ギムレットのベースとして使われたりと、プリマスジンにまつわる歴史的な逸話は数々あります。