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オーバン14年・風味の特徴と価格、レビュー評価、おいしい飲み方とは

オーバン14年シングルモルト・風味の特徴は地理的条件

「オーバン14年(Oban 14 Years Old)」はスコットランドの西ハイランド地方にあるオーバン蒸留所が造っているシングルモルトウイスキーです。

 

地理的条件・水・ポットスチルの形状により、ハイランドモルトアイラモルトの中間の性質を持つ「軽く華やかで、海の香りの染み込んだ風味」の特徴が生みだされます。

 

地理的条件とはオーバンがハイランドの西海岸に位置すること。さらに、スカイ島アイラ島の中間に位置していることにあるんですね。

 

原酒の仕込み水は町の背後の丘の上にあるアードコネル湖(現在はもう少し離れたグレネベリー湖)の水が使われています。

 

オーバン蒸留所の画像
Oban distillery オーバン蒸留所

オーバン蒸留所のポットスチル

オーバン蒸留所のポットスチルは「スマ・スチル」と呼ばれる小さなランタンヘッド型の初溜釜1基、再溜釜1基の合計2基だけ。

 

ランタンヘッドとはウエストがくびれたスチルで、外気に触れる面積がストレートヘッドより広く、蒸気が冷えて液体に戻りやすいために、原酒は軽快で華やかな香りになると言われます。

 

ちなみに、このランタンヘッド型を設置している代表的な蒸溜所は、アイラ島にあるラフロイグ蒸溜所ジャパニーズウイスキーサントリー白州蒸溜所などがあります。

 

オーバンの樽熟成は一般的なスコッチの12年熟成でなく、14年熟成。原酒の熟成ピークにこだわったら14年になったようです。

オーバン14年の価格・レビュー評価

「オーバン14年」はアルコール度数43度・700mlで、販売店での安い価格帯はあくまでも記事アップ日の時点で税込5,200円ほど。

 

一般的な評価からまずはマイナス評価を指摘する感想をあげてみます。

 

「値段がちょっと高い」

「酸味が強い。加水すると少し伸びて麦芽の甘みが出るが、それでも酸っぱい。その酸っぱさの中に、他のモルトにはないまた別の酸味を感じる」

 

支持するレビューは以下の通りです。

 

「品格を感じるボトルが気に入り購入。芳醇で軽やか、フルーツの香り、塩気や甘みも後から来る感じでバランスのよい旨味」

「これが5000円の商品かと思うくらい上質のウィスキー」

「スモーキーだが、いくつかの果物と塩加減が絶妙。スパイスの香りに支えられた海の香り(ドイツ)」

「良いブランデーのような香り。他のいくつかのシングルモルトが持っているような医学的・化学的臭いがない(英国)」

「美しく滑らかで高価だが、高品質のウイスキーならこれをお勧めする(英国)」

「素晴らしい。スモーキー加減も私の口に合う。スペイサイドモルトに近い風味(英国)」

 

マイナス評価の感想では「価格がもう少し安くなってほしい」という指摘が多いですね。

 

「もう少し」という謙虚な訴えは、このシングルモルトの価値がわかるからこそとも言えますね。

 

ハイランドの画像
Highlands ハイランド

オーバン14年のおいしい飲み方

全体的に酸味・スモーキーさ・塩加減のバランスが絶妙ですが、それが丸く収まっているために強い印象が残らないと感じる人もいるかもしれません。

 

モルト中級者にお薦めと表現されることもありますが、わかるような気もします。

 

オーバン14年のおいしい飲み方はストレート、あるいはトワイスアップあたりでしょうか。

 

どちらかというと香りは弱めなので、ハイボールでは感じにくく、ややえぐみの印象も出てくるので、なるべくなら濃いめの状態で本来の口当たりを楽しむのがいいと思います。

オーバン蒸留所を中心に発展した西ハイランドの港町

オーバンとは「小さな湾」の意味で、その名の通り、小さな湾に面した現地の港町の名前です。

 

19世紀以前、町にはほとんど家がなく、わずかな規模の漁業、貿易、造船、採石業が行われていました。

 

それを変えたのが、1794年にオーバン蒸留所を設立したスティーブンソン兄弟。

 

彼らは蒸留事業だけでなく、造船業、鉱業などの事業も始め、オーバンの町は蒸留所を中心として発展していきます。

 

スコットランド・オーバンの港町の画像
Oban オーバンの港

 

寒村に過ぎなかったオーバンが、今日のように西ハイランドの中心地となるまでに発展したのは、スチーブンソン兄弟の貢献が大きいと言われるんですね。

 

その後、蒸留所のオーナーは次々と変わり、現在はMHDモエヘネシーディアジオ社が所有していますが、町の中心部には今でも兄弟の名を冠した「スチーブンソン通り」が残っています。

 

オーバン蒸留所は1890年代に改修工事が行われて以来、ほとんど規模を変えずに現在に至っています。

 

蒸留所の背後は切り立った崖、正面の海岸との間には遊歩道という立地のため、人気があるにもかかわらず、蒸留所の拡大工事は難しいと言われます。

 

小規模生産で生産量が限られているため、価格も必然的に高くなるということでしょう。

 

同蒸留所ではいろんな種類をリリースすることもなく、14年を主軸に昔ながらの伝統製造法でのんびりと稼働しています。