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オーバン14年 港町の蒸留所がスマ・スチルで造るハイランドスコッチ

オーバン蒸留所を中心に発展した西ハイランドの港町

「オーバン14年(Oban 14 Years Old)」はスコットランドの西ハイランド地方にあるオーバン蒸留所が造っているシングルモルトウイスキーです。

 

オーバンとは「小さな湾」の意味で、小さな湾に面した現地の港町の名前。19世紀以前、町にはほとんど家がなく、わずかな規模の漁業、貿易、造船、採石業が行われていました。

 

それを変えたのが、1794年にオーバン蒸留所を設立したスティーブンソン兄弟。彼らは蒸留事業だけでなく、造船業、鉱業などの事業も始め、オーバンの町は蒸留所を中心として発展していきます。

 

Oban distillery オーバン蒸留所
Oban distillery オーバン蒸留所

 

寒村に過ぎなかったオーバンが、今日のように西ハイランドの中心地となるまでに発展したのは、スチーブンソン兄弟の貢献が大きいと言われます。

 

その後、オーナーは次々と変わり、現在はMHDモエヘネシーディアジオ社が所有していますが、町の中心部には兄弟の偉業を称えるかのように、今でも彼らの名を冠した「スチーブンソン通り」が残っています。

 

オーバン14年の風味の特徴を生み出す環境とは

「オーバン14年」の特徴は「ハイランドモルトとアイラモルトの中間の性質を持つ」と言われる味わい。この地ならではのいろんな条件が重なり、独特の風味を生み出す要因になっています。

 

まずは、ハイランドの西海岸に位置するオーバンが、スカイ島とアイラ島の中間に位置しているという、気候・風土の地理的条件。

 

次に、原酒の仕込み水。町の背後の丘の上にあるアードコネル湖(現在はもう少し離れたグレネベリー湖)の水を利用しているために、これが海の香りの染み込んだ風味に大きく影響していると言われます。

 

さらに、オーバン蒸留所の背後は切り立った崖、正面の海岸との間には遊歩道という立地のため、人気があるにもかかわらず、蒸留所の拡大工事は難しく、小規模生産しかできず、生産量が限られているという条件。

蒸留は「スマ・スチル」と呼ばれる小さなランタンヘッド型の初溜釜1基、再溜釜1基の合計2基だけが、昔ながらの伝統の製造法でのんびりと稼働。1890年代に改修工事が行われて以来、ほとんど規模を変えずに、現在に至っています。

 

ランタンヘッドとはウエストがくびれたスチルで、外気に触れる面積がストレートヘッドより広く、蒸気が冷えて液体に戻りやすいために、軽快で華やかな香りになる特徴があります。

 

このランタンヘッド型を設置している代表的な蒸溜所には、白州蒸溜所、ラフロイグ蒸溜所などがあります。 熟成では一般的なスコッチの12年熟成でなく、14年熟成。

 

オーバンで造られる熟成のピークにこだわったら14年になったようです。生産量が少ない事情もあり、同蒸留所ではいろんな種類をリリースすることもなく、14年を主軸としています。

 

Oban スコットランド・オーバンの港
Oban スコットランド・オーバンの港

テイスティングレビューの評価は「モルト中級者向け」かも?

「オーバン14年」はアルコール度数43度・700mlで、価格は5,000円前後。一般的な評価は「スムースさのなかにアイラのようなピート感」「上質のウィスキー」「特に華やかな香りがするわけではないが、しみじみと美味しい」など、ウイスキー通の方々の実感のこもったテイスティングレビューが多く見られます。

 

「モルト中級者にお薦めしたい」というレビューもありました。たしかに、丸く収まっているので強い印象が残らないまま、一度飲んだきり……という場合もあるかもしれません。

 

気が向いたときに再チャレンジしたら、新たな発見があるかもしれません。ネガティブな感想は「価格面がもう少し安くなってくれないか」というご指摘。「もう少し」という指摘にこのシングルモルトの価値がうかがえます。