ローランドモルトの特徴や歴史 グレーンとブレンデッド誕生地の銘柄は

ローランドモルトウイスキーとはなにか、銘柄・特徴とは

ローランドモルトウイスキーの特徴や銘柄はどんなものか、蒸留所の歴史とともに解説します。ローランドモルトの蒸留所はこの地がグレーンとブレンデッド誕生の地だったことから、ほかの地域とは違う歴史を辿ることになります。

 

スコットランドを大きく分けると、「ハイランド地方」と「ローランド地方」の2つに分けられます。

 

ローランドモルトとは南部に位置し、エジンバラやグラスゴーといった都心部のあるローランドエリアにある蒸留所で造られる、シングルモルトウイスキー。

 

Edinburgh エジンバラ
Edinburgh エジンバラ

現在、代表される蒸留所といえば、オーヘントッシャングレンキンチーといった老舗になります。

 

オーヘントッシャン、ローズバンク(1993年に閉鎖。現在、イアン・マクロード・ディスティラーズによる復興計画があり)はアイリッシュウイスキーの製法を取り入れた3回蒸留で知られています。

 

ローランドモルトは全般的に風味が軽く、マイルドな味が特徴です。クセがないため、ウイスキー独特の刺激が苦手な方や初心者でも受け入れられやすいと言われます。

 

とはいえ、ローランドモルトといえば、ウイスキーを長年飲み慣れてきた中高年の方に評判が高いのも事実。「いろいろ飲んでいるうちに嗜好も変わり、個性を強く張しない落ち着きのあるウイスキーがよくなった」という感想が多いですね。

 

グレーンウイスキーの誕生に関わったローランドの蒸留業者

ローランドのウイスキーはほかの地域に比べて都会的な場所で、イングランドの大資本の影響も受けやすい環境にあります。それがウイスキー発展の歴史に大きく影響しています。

 

ハイランドには現在も多数の蒸留所が存在しますが、かつてのローランドは山奥の谷でつくられるハイランドの風味あるウイスキーに勝てませんでした。

その流れが変わったのが、1826年の連続式蒸溜機の発明。1831年には改良型の近代的なカフェ式連続式蒸溜機が発明されます。

 

連続式蒸留機は初期投資にコストがかかりますが、資本のあるローランドの業者は積極的にこの機械を導入。

 

大麦に変わる原料として、小麦やトウモロコシなどの原料をつかい、クリーンでクリアな香味特性をもった安価なグレーンウイスキーを誕生させます。しかも、大量生産ができるのが利点でした。

 

エディンバラで世界初のブレンデッドウイスキー誕生

1853年になると、ローランドのエディンバラでグレンリヴェットの総代理店を経営していたアンドリュー・アッシャーが、熟成年数の違うグレンリヴェットをヴァッティングしたヴァッテッドウイスキーを発売。

 

「アッシャーズ・オールド・ヴァッテッド・グレンリヴェット(Usher's OVG)」と名づけられて大評判に。

 

さらに、1860年には法律改正があり、異なるウイスキーを保税貯蔵庫内に限ってブレンドしてもいいことになります。

 

アッシャー氏は培ったヴァッティングの技術を活かして、モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドした史上初のブレンデッドウイスキーを誕生させます。

今も残る世界初のアッシャーズ・グリーン・ストライプ

その世界初のブレンデッドウイスキーが「アッシャーズ(Usher's)」です。現在でもその味は「アッシャーズ・グリーン・ストライプ(Usher's Green Stripe)」に受継がれています。

 

あまり市場に出回りませんが、ごくわずかに楽天で販売されているので、興味のある方はチェックしてみてください。

 

こうして生まれたブレンデットウイスキーがそれまでのウイスキーの勢力図を一変させます。個性の強いモルトウイスキーは穏やかなグレーンウイスキーとブレンドされて、洗練された口当たりと風味に変わります。

都市化や伝統技術が失われたことが衰退の一因に

それから世界はブレンデッド時代に。グラスゴーには多くのブレンダー、ブレンディング会社が誕生して本拠を構え、ボトリング工場も集中して大量の製品がグラスゴー港から積み出されていきます。

 

最盛期には220以上の蒸留所が稼働し、スコッチウイスキーの90%はローランドで造られているとまで言われるほどでした。

 

しかし、ローランドモルトの蒸留所はその後、衰退の道をたどります。市街化が進んで蒸溜所の立地に不向きになったこと、伝統技術が廃れてしまったこと、当時のローランドモルトに対する評価が低かったことなどが原因と言われます。

Glasgow グラスゴー
Glasgow グラスゴー

ウイスキー産業の中心地であり続けるローランド

ローランドの蒸留所は20世紀末にはオーヘントッシャン蒸留所とグレンキンチー蒸留所だけになりましたが、近年のブラドノック蒸留所復活を皮切りに新蒸留所が次々と建造されていて、復活の兆しが現れています。

 

このように、モルト蒸留所そのものは減ったものの、ローランドには今でもブレンデッドスコッチに必要不可欠なグレーンウイスキーを造る工場が多く存在していて、ブレンド業者、麦芽製造工場の大半が拠点を持っています。

 

ウイスキー産業の中心地であることは今も昔も変わらないんですね。