ラフロイグ10年の特徴はアイラモルトのヨードの香りと濃厚な味わい
人気銘柄「ラフロイグ10年(Laphroaig 10Years Old)」の価格幅・特徴・風味・終売の旧ボトルなどについて解説します。
ラフロイグ10年はスコットランド西海岸沖のアイラ島にあるラフロイグ蒸留所が造っているシングルモルトウイスキーです。蒸留所は現在、ビームサントリーの保有となっています。
「ラフロイグ10年」の特徴は薬品のようなヨードの香り、オイリーで濃厚味わい、やや塩っぽくてドライな後味。世界中のファンから「アイラの王様」と呼ばれて高い支持を受けています。
英国王室チャールズ皇太子愛飲のモルトとしても有名で、1994年にはモルト蒸溜所としては初めて、チャールズ皇太子より王室御用達の認定を受けました。

人気銘柄なので相場価格にも幅がある
人気銘柄なので相場価格にもかなりの幅があるのが特徴です。350ml、700ml、さらに750mlでは終売・旧ボトルがあるので旧ボトルの2000年代流通品などは価格も高くなりますね。
1000mlとなると、今日現在、ヤフオクに若干ありますが、在庫も希少となっています。
ラフロイグ10年(40度) |
通販の最安値と相場価格(税込) |
350ml |
2,400円ほど |
700ml |
3,600円から5,000円ほど |
750ml(正規品・終売・旧ボトル) |
4,600円から13,000円くらいまで |
1000ml |
ヤフオクに若干あり |
ラフロイグのシングルモルトウイスキーの特徴は伝統の自社製麦
ラフロイグ蒸留所では現在でも自社で昔ながらの製麦「フロアーモルティング」を行っています。大麦を麦芽(モルト)にするために、モルティング」と呼ばれます。
原料となる大麦を浸麦(しんばく)→発芽→乾燥という順に製造していきます。現在では同蒸留所を含めて数箇所しか自社でやっていないとか。とても手間がかかる部分を、機械化された最新鋭の製麦工場に委託するわけですね。
製麦は最初に大麦をタンクの中で水に浸漬して水分を吸わせます。これは麦の表面に付着した埃や汚れを落とす、苦味の元になる成分を水中に出す、発芽を促進するという目的があります。
いったん水を抜いて酸素を吸わせたら、もう一度水を吸わせて水を抜き、さらにもう一度水を吸わせてまた水を抜くという作業を、外気温や水温に合わせて調節しながら行います。
最後に規定の水分量になったところで大麦をコンクリートの床に広げると、発芽が始まり、根と芽が成長します。このとき、4時間毎に撹拌して麦の発芽によって発生する熱を均等にします。
使用する道具が重く、熟練が要求される上、24時間体制で麦芽の状態を見なければならないのでかなりの重労働が必要とされます。

美味い正露丸、ニオイをクリアできれば飲める
大麦が十分に発芽したら、熱を加えて乾燥させて発芽のプロセスを止めます。キルン(かまど)の金網のフロアーに広げて、ピート(泥炭)を炊き込んだ熱で乾燥させます。
スモーキーな香りの強さはこのときに焚くピートの量によって変わります。ラフロイグはスコッチのなかでもとくにフェノール値(ピートレベル)が50~60ppmと高いほうです。
代表的なスコッチのフェノール値の比較についてはこちら>>>「アードベッグ10年」
Amazonのレビューには「美味い正露丸」とたとえている人も多いですが、ニオイだけでもう飲めないと感じてしまう人も少なくありません。
ちなみに、同じスコットランドのピートでも、アイラ島やスカイ島のピートはある程度塊になっていますが、ハイランドパークのピートは小さな石炭や粉状が多いようです。

スコットランド最北端のハイランドパークでは寒すぎて木が育たないため、ヘザーなどの植物が堆積してできたものなのであまり固まらないそうです。
ひと口にスモーキー、フェノール値と言っても、ピートが採取される場所、使う水源のちがいで風味の特徴が違ってくるんですね。それによってウイスキーの特徴が決まります。
強烈な個性ゆえに「惚れ込むか、大嫌いになるかのどちらか」と評価されてきた「ラフロイグ10年(Laphroaig 10Years Old)」。
好きな人からすれば「そこをもうちょっとガマンして、チビチビ一本だけ飲んでみて」とアドバイスしたくなるわけです。飲み慣れない初心者の方は、ひとまず350mlがいいかもしれません。