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ラガヴーリン16年 アイラの巨人はホワイトホースのキーモルトにも

「ラガヴーリン16年(Lagavulin 16Years Old)」はスコットランド・アイラ島の南岸、フェリーの着くポートエレン(またはポートエリン)に位置するラガヴーリン蒸留所(MHD・ディアジオ・モエ・ヘネシー株式会社)が造っています。

 

アイラ島は蒸溜所で働いている人のみならず、ウイスキーに無関心な人たちでも何らかの形で蒸溜所に関わっていて、蒸留所を中心に栄えている島なんですね。

 

ポートエレン周辺にはこのラガヴーリン、ラフロイグ、アルドベッグとまとまっていて、中心にはボウモア、さらに島の各地に分散して全部で8つの蒸溜所が建てられています。

 

Lagavulin Distillery ラガヴーリン蒸留所

photo credit: HotDogFrog DSC_3304 via photopin (license)

 

そのなかでも「アイラの巨人」と称されるラガヴーリンは、アイラモルトの代表格のひとつ。ゲール語で「ラグ」がくぼ地、「ヴーリン」が水車小屋を指しています。

 

ラガヴーリンとは目の前に広がるラガヴーリン湾の名前で、「水車小屋のあるくぼ地」という意味になります。

 

もともとラガヴーリン湾では10もの違法蒸溜所が操業していました。1816年には地元の農業経営者で蒸留職人でもあったジョン・ジョンストンがダニヴェイグ城を望む場所に最初の合法な蒸留所を創業します。

その後、彼の家族が所有するもうひとつの蒸留所が隣り合って稼動しはじめ、それぞれ「モルトミル」「ラガヴーリン」と呼ばれるように。

 

ジョン・ジョンストンが亡くなると、アイラモルト商人のアレクサンダー・グラハムがラガヴーリンを買収。もうひとつの蒸留所も統合して、蒸留所の建屋を改修しています。

 

その後、ラガヴーリン蒸留所はピーター・マッキーの手に渡り、あの有名なブレンデッド・ウイスキー「ホワイトホース」のキーモルトとして使用されることになっていくんですね。

 

Port Ellen アイラ島南岸のポートエリン
Port Ellen アイラ島南岸のポートエリン

 

いまでこそアイラ・モルトの代表格のひとつに挙げられる「ラガヴーリン16年」ですが、以前は蒸溜所にもホワイトホースの看板が掲げられているのみで、その名が表に出ることはほとんどなかったとか。

 

時代とともにシングルモルトが注目されるようになり、ブレンデッドウイスキーのための単なる原酒製造所ではない、「ラガヴーリン」としての魅力が脚光を浴びるようになったんですね。

 

「ラガヴーリン16年」は多くのウイスキーのように12年熟成ではなく、この16年がスタンダードであるという主義で造られています。そのため、レビューでも「クセがありながら煙臭くて甘い。でも上品」という評価が多いですね。

 

Islay アイラ島
Islay アイラ島

 

Amazonにこんな口コミがありました。「人に例えるならラフロイグやアードベッグが力強い島の男たち、カリラが果樹園の一人娘、ボウモアが深窓の令嬢、ラガヴーリンはスーツの似合う島の有力者の老紳士」

 

うまいたとえができてうらやましい(笑)。とはいえ、味覚の好みはかなり個人差がありますから、評価は参考程度にしておいてください。

 

16年がスタンダードと書きましたが、最近は生産が需要に追いつかず、「8年」や限定商品「12年カスクストレングス」やペドロヒメネス熟成「ディスティラーズ・エディション」、「ダブルマチュアード」なども出ています。

 

ラガヴーリン 12年 カスクストレングス 700ml

 

これにたいして、ラガヴーリン初の女性蒸溜所所長であるジョージー・クロフォード氏は「ラガヴーリンの強烈な個性を発揮するには16年熟成が最適。

 

今は長期熟成モノを発売するよりスタンダードを守ることが第一」とのことなのでホッとしました。

 

クセになる人がもっと出てほしい反面、愛飲家からするとあまり広く知られたくないウイスキーであることは間違いありません。