アードベッグ10年(TEN) ・正露丸風味のピートが香るスコッチ
「アードベッグ10年(ARDBEG TEN Years Old)」はスコットランド・アイラ島の南岸に建てられているアードベッグ蒸留所が造っているシングルモルトウイスキーです。
漫画「刃牙(バキ)」の格闘家、ドイルが日本のバーにやってきて故郷の酒として頼んだ銘柄でもあり、漫画をきっかけに興味を持つ方も多いですね。
とはいえ、アードベッグ10年は口にすると、まずは正露丸や病院の匂い、消毒液のような香りが全面に出てくるのが大きな特徴。

あとから繊細な甘みがやってきますが、入り口でその香りに拒否反応が起きる人もいます。
熱狂的なファンがいるものの、その強烈な個性から飲む人を選ぶウイスキーなんですね。「これを飲みこなせば他のアイラモルトは楽しめる」とよく言われます。
アルコール度数と価格
アードベッグ10年はアルコール度数46度で50ml・700ml・1000mlがあります。
あくまでも記事アップ日の最安値価格(税込)は以下の通りで、1000mlがいくらかお得といったところ。
初めての方はハーフボトル、ミニボトルでお試ししたいところですが、今日現在、ミニボトルの小瓶50mlしか流通していないようですね。760円ほどですが、送料がボトル代以上かかってしまいます。
ちなみに、「ミニボトル」よりも「アードベッグ 50ml」で検索したほうが、すぐに出てきます。
アードベッグ10年 |
通販販売店の最安値価格(税込) |
46度・50ml |
760円ほど |
46度・700ml |
3,800円ほど |
46度・1000ml |
5,400円ほど |
一般的なレビューの評価、好きな人は「飲む煙」
一般的な評価からまずはマイナスポイント。「消毒っぽい香り」「古い押入れのホコリ臭い味」との感想の方は、匂いに圧倒されてもはや味が頭に入ってこないという印象ですね(笑)。
そのほかには「美味しかったですが、好みによりけり」「けっこう値段がする割にはもう一つ」との感想が。風味に複雑さはありますが、好みは分かれます。
支持するレビューでは「強烈な煙さと共存する甘さがたまりません」「煙を液体にして飲んでいる感じ。余韻の後味は甘みがあってフルーティ」「何度飲んでもこのクセはたまりません」など。
「職場の逃げられない同僚、上司との付き合いのようにじっくり付き合っていけば良さが分かってきます」という温かいアドバイスもあります(笑)。

アードベッグの特徴の目安となるフェノール値とは
スモーキーさの目安となるのが「ppm」というフェノール値。ウイスキーの製造は原料となる大麦を水に浸して発芽させてから乾燥させ、それ以上の発育を防止します。
乾燥させるためには窯から出る熱が使われますが、燃料の素材になるのがピート。植物などが湿地帯で枯れた後、完全に分解されずに残った残骸が堆積してできたた泥炭層です。
各地域でとれるピートの質はそれぞれ違い、アイラ島のモルトは海藻のような香りが強いのが特徴で、これがまさに病院の匂いを感じさせるんですね。

ピートを窯に入れるとそのスモークが大麦に吸収されます。燃料に少量のピートを加えるのか、さらにピートを加え続けるのかによって、フェノール値(ピートレベル)は大きく変わります。
10ppmほどならわずかにスモークの香りがする程度。ボウモアが25ppmと中レベル、40から50ppm以上は高レベルなのでアードベッグはかなり高めです。
ボウモア:18~25ppm
カリラ:35~55ppm
ラガヴーリン:30~55ppm
キルホーマン:50ppm
ラフロイグ:50~60ppm
アードベッグ:55~65ppm
とはいえ、数値は桁単位で測定誤差が出たり、実際に口にした印象と違ったりする場合も多く、あくまでも判断の目安という程度でいいようですね。

アードベッグ10年に使われている樽とは
アードベッグ10年に使われているのは、バーボン樽のファーストフィルとセカンドフィルの組み合わせ。
つまり、バーボンを熟成させて空いた最初の樽と一度ウイスキーの熟成に使った樽となります。結果として、シェリー感が好きな方の好みからはちょっと遠くなるのかもしれません。
ハイボールでもおいしい飲み方ができる
高価なモルトなのでもったいないですが、アードベッグはハイボールにしても風味が損なわれずにおいしく飲めます。
46度とアルコール度数も高いので、そうしないと飲めないという方もいらっしゃるでしょう。
香りが軽くなって、炭酸によって自然と鼻から抜ける感覚を楽しめたり、ちょっと重めの甘みを感じられたりするのでおもしろいと思います。