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ウエストコークシングルモルト10年 スコッチ風甘く香るアイリッシュ

守備範囲の広いウエストコーク蒸溜所が造るシングルモルト

「ウエストコークシングルモルト10年(West Cork Single Malt aged 10 Years)」はアイルランド・コーク州で2003年から稼働しているウエストコーク蒸溜所が造っているアイリッシュウイスキーです。

 

同蒸溜所ではアイリッシュウイスキーのほかに、ポチーン(Poitin)、ウォッカ、ジン、リキュールを生産しています。

 

ちなみに、ポチーンとは日本でも「アイルランドの密造酒」という肩書きで紹介されることもある50~90度という強力なアルコール。

 

昔は飲み物としてだけでなく、家庭の消毒用などにも使われていたそうですが、約300年間にもわたる製造禁止の法律が1997年に改正され、今では一部の製造業者が合法的に販売できます。

 

Cork アイルランド南部マンスター地方のコーク
Cork アイルランド南部マンスター地方のコーク

元スプリングバンク蒸溜所の技術と経験を反映

ウエストコーク蒸溜所はジョン・オコネル、デニス・マッカーシー、ゲアル・マッカーシーの3人によって設立され、アドバイザーに元スプリングバンク蒸溜所のマスターディスティラー、フランク・マッカーディ氏を迎えています。

 

2003年からの稼働ですから、ここ数年のウイスキーブームで参入してきたわけではなく、むしろ、アイリッシュウイスキー復興に貢献してきた蒸留所と言えるでしょう。

 

マッカーディ氏のもとで蒸溜、樽の選定、ブレンディングなどにおいて品質向上を計っているとのことですが、とくにその影響を感じさせるのが「アイルランドのローカルバーレイ」を使っていることです。

希少なローカルバーレイ(地元の大麦)を100%使用

ローカルバーレイ(Local Barley)とは「地元の大麦」。今日現在、アイルランド産大麦100%を使っているのは「グレンダロウ」くらいでしょうか。

 

実はスプリングバンク蒸溜所といえば、「スプリングバンク ローカルバーレイ(Springbank Local Barley)11年・16年」というスコッチを過去に販売しています。

 

同蒸溜所はスコットランドの南西部、キンタイヤ半島の先端の小さな街にあります。かつて、その半島先端近くの農場、アロスファーム(Aros Farm)で作ってもらった大麦でシングルモルトウイスキーを造りました。

 

大麦は「Bere Barley(ベアバーレイ)」という古代種の大麦。これを使って仕込まれたシングルモルトウイスキーを販売したところ、伝説のボトルとして大きな話題になって完売。現在、再販された現行品がわずかに残っています

 

「ウエストコークシングルモルト10年」のラベルにはアイルランドの半島がデザインされていて、アイルランド産大麦100%をアピールしているように感じます。

 

Springbank Distillery スプリングバンク蒸溜所
Springbank Distillery スプリングバンク蒸溜所
photo credit: sebastian.b. Springbank via photopin (license)

熟成にファーストフィルのバーボンカスクを使う理由

ファーストフィルとは初めて熟成に使われた樽のことで、樽の風味がいちばん原酒に溶け込みやすいのが特徴です。

 

「ウエストコークシングルモルト10年」ではバーボンカスクのファーストフィルを使うことで、素材であるホワイトオーク樽の風味が十分に原酒に溶け出す風味に仕上げています。

 

そのため、バーボンバレル熟成でよく言われる、蜂蜜のような香りがしっかりと出ています。

 

テイスティングレビューと価格

「ウエストコークシングルモルト10年」はアルコール度数40度・700mlで、価格は送料入れずに3,300円前後。

 

同シリーズで57.3度あるいは57.5度・700mlのカスクストレングスのシングルモルト10年もあります。

 

カスクストレングスも価格差はほぼなく、高アルコールのため人気です。定番のほうは40度なので、度数を注意して選べば間違えないでしょう。ちなみに、下がカスクストレングスです。

今回紹介する定番の評価ですが、まだ広く日本で浸透していないせいか、初心者の方は少なく、テイスティングに慣れている方々によるものが多いようです。

 

「爽やかでフレッシュな香り」「スペイサイド系のスコッチに近い風味」「柔らかなアイリッシュモルト」「フローラルでほのかな甘い香りに麦芽の甘み」「軽めで蜂蜜や洋ナシを思わせる樽の香りがする」など、レビューでの評価も高いですね。

 

アイリッシュでありながら、スペイサイドのスコッチのような個性もそなえた「ウエストコークシングルモルト10年」。この価格ならこれからだんだん高値になっていきそうな気配です。