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vat69 映画登場の特級オールドボトルと現代。風味の違いとは

「VAT69(バット69)」は1863年からスコットランドのサウス クイーンズフェリーで、ウィリアム・サンダーソン&サン社(ディアジオ社傘下)が製造しているブレンデッドウィスキーです。

 

VAT69のVatとは樽(Cask)であり、69は69番目の樽を意味します。このスコッチの誕生は1883年。ウィリアム・サンダーソンが自身でブレンドした100種類のウイスキー樽を用意して、熟練のテイスター集団を集めました。

 

そこで専門家が最高だと評価したのが「69番目の樽」だったため、このブランド名で販売が始まりました。約40種以上のモルトウイスキーにグレーンウイスキーをブレンドしています。

 

Queensferry クイーンズフェリー
Queensferry クイーンズフェリー

 

VAT69を「バンド・オブ・ブラザース(Band of brothers)」で知って興味をもったという方も多いですね。スティーヴン・スピルバーグ監督と俳優のトム・ハンクス製作総指揮の実話に基づく戦争映画です。

 

正確には映画ではなく、アメリカのTV放映向けに作られた10回シリーズのTVドラマ。第二次世界対戦(1939年から1945年)におけるアメリカ陸軍空挺第101空挺師団、第506歩兵連隊、第2大隊E中隊の訓練学校から対ドイツ戦までが描かれています。

 

もちろん、日本でもレンタル可能です。このドラマの登場人物、ルイス・ニクソン大尉が好んで飲んでいたウイスキーがVAT69なんですね。

ちなみに、ブレンドしたウイリアム・サンダーソンは、ハイランド地方東部のロイヤル・ロッホナガー蒸留所の創設者であるジョン・ベッグと友達でした。

 

ブレンドのメインモルトに「気品あるハイランドモルト」と形容されるロイヤル・ロッホナガーを使ったことが成功の秘訣と言われます。

 

ジョニーウォーカー最高峰「ジョニーウォーカーブルーラベル」のキーモルトにも使われていることでも有名です。

そんなにすごいキーモルトをブレンドしたスコッチが最安値1,000円程度で買えるの?!と考えがちですが、実はVAT69に使用されるキーモルトは時代によって変わってきているんですね。

 

「バンド・オブ・ブラザース」のニクソン大尉が好んで飲んでいたのは、現在と違うオールドボトル。日本は「VAT69特級」と紹介されていて、ボトルがずんぐりとした形をしているのが特徴です。

形だけでなく、風味も現在とは大きく異なるもの。どうしても映画(ドラマ)と同じ味を試したいという場合には昔のオールドボトルをヤフオクあたりで購入するしかありません。

上のリンクから確認していただければわかるように、それなりのお値段です。ロッホナガーの特徴が濃く出ていて、独特なピート香とねっとりとしたコクの個性的な風味があります。

 

 

対照的に現在のVAT69の評価は「飲みやすい」「スモーキーさもなく、クセのないウイスキー」という感想が主流。個性を主張しすぎないバランスのとれたウイスキーとして、地道な人気を保っています。

 

ボトルデザインは男性的ですが、外見に似合わずフェイマスグラウス系のシェリー感のある甘味があって個人的に私はけっこう好きな味です。

 

開栓したあとのボトルの香りは蜂蜜の匂いがしますが、強く吸い込むと鼻にちょっとツーンときます。

 

私はアルコールの辛味と甘味のバランスがいいと思いますが、人によってはアルコールの辛味が気になるかもしれません。一般的な評価ではスモーキーさはないとありましたが、わずかにあります。

 

同価格帯のグランツファミリーリザーブと比較すると、1000円スコッチでもやや複雑さを感じるグランツにくらべて、こちらは甘味優先といったところ。なかなかいい勝負をしているのではないかと個人的には思います。