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ターコネル 2回蒸溜と香りが特徴、競走馬の名を残すシングルモルト

ターコネルはワット蒸溜所の人気シングルモルトの復刻版

「ターコネルシングルモルトウイスキー(Tyrconnell)」はアイルランドのダブリンにあるクーリー蒸留所(現在はビームサントリー傘下)が造っている「オールドターコネル」の復刻版です。

 

アイルランドにかつて存在したワット蒸溜所の人気ブランドを復活させました。同蒸溜所は現在、北アイルランドに属するロンドンデリー市にありました。

 

もともと18世紀末にアビー(修道院)の中にあった蒸溜所。1822年にアビー・ストリート蒸溜所としてジョン・スミスがウイスキー製造を始めています。

 

Dublin Castle 18世紀に建てられたアイルランドのダブリン城
Dublin Castle 18世紀に建てられたアイルランドのダブリン城

蒸留所が大成功した理由はカフェ式連続式蒸溜機

1830年頃になり、ロンドンデリーでワインとスピリッツを扱う酒店を営んでいたワット(Watt)一族が蒸溜所の経営に参加して、のちに経営権を取得してワット蒸留所に名前が変わります。

 

その背景には1831年に発明された改良型のカフェ式連続式蒸溜機の存在がありました。ワット蒸留所では、アイルランドの大半の蒸留所に不評だったこのカフェ式スチルを1833年にいち早く導入。

 

ポットスチルによるモルトウイスキーの蒸溜とともに、カフェ式スチルによるグレーンウイスキーの大量生産を主力商品としていきます。

 

やがて、原料穀物の貯蔵施設、原料を熱風で乾燥させる設備であるキルンなども大規模に整備、莫大な生産能力を持つまでに。

 

カフェ式連続式蒸溜機・アイルランドの歴史解説はこちら>>>アイリッシュウイスキーの歴史的特徴

栄華を極めたアイリッシュの衰退

ワット蒸留所は19世紀後半には主要ブランド「ターコネル」「イニショーウェン」「フェバリット」を擁する、全英でも最大規模の蒸溜所となり、とくに「ターコネル」は禁酒法(1920~1933)施行前のアメリカで高い人気を得るブランドになりました。

 

しかし、その後、アメリカの禁酒法、アイルランド内戦、さらにはアイルランド独立に伴うイングランドとの確執の余波を受け、ワット蒸溜所は1925年に閉鎖されてしまいます。

 

ラベルには栄華の時代を象徴する競走馬

「ターコネルシングルモルトウイスキー」のターコイズグリーンのボトルケースとラベルには競走馬が描かれています。当時のワット家の持ち馬で名前は「ターコネル(ティコネル)」。

 

ターコネルは1876年の競馬レース「アイリッシュ・クラシック・ダービー」に出場すると、番狂わせの100倍の高配当で優勝を遂げます。そのときに記念ラベルとともに発売して大人気となったんですね。

 

その後、栄枯盛衰によって失われた、かつてのアイリッシュブランドの再興をコンセプトとしたクーリー蒸溜所によって復刻版が製造されました。現行品「ターコネル」のラベルにもそのレースのゴールシーンが使われています。

 

ターコネルシングルモルトウイスキーの特徴

「ターコネルシングルモルトウイスキー」の特徴は、一般的なアイリッシュウイスキーが3回蒸溜なのにたいして、2回蒸溜に抑えていること。

 

3回蒸留ではアルコール成分が凝縮されることで、より雑味のない原酒が造られるわけですが、2回蒸溜であえてモルト本来の風味や甘さが残されています。

 

ピートを使って原料を乾燥させていないため、スコッチとは違うアイリッシュらしいクセのなさも特徴です。

 

テイスティングレビューと価格

ターコネルシングルモルトはノンエイジで、アルコール度数40度・700ml。価格は送料入れずに3,000円前後となっています。サントリーの通販ショップ「イエノバ」では3,888円(税込)なので、このあたりが定価と考えると、いまならまだ安めに購入できますね。

 

一般的なテイスティングレビューは「香りは強くなく、飲み口はフレッシュでフルーティ」「特徴のない無難な味ですが、香りが抜群」「相当やわらかい。しかも香りが高い」と評価はまずまず。

 

香りを高いと感じるか、控えめと感じるかは微妙に個人差があるようです。反対の感想としては「値段を考えるとそこそこの味」という評価もわずかにあります。

 

競走馬の優勝で頂点を極めた、かつての人気シングルモルトウィスキー。復刻版を味わいながら、禁酒法時代の前にタイムスリップしてみるのもいいですね。