· 

ティーリングシングルモルト 往年のアイリッシュウイスキー蒸留所復活

歴史の原点は1782年創業、ティーリング家の蒸留所

「ティーリング シングルモルト(Teeling Single Malt)」はアイルランドのダブリンに本拠を構えるティーリング・ウイスキー社が販売しているアイリッシュシングルモルトウイスキーです。

 

同社はインディペンデントボトラー(独立瓶詰業者)でありながら、現在は蒸留所も経営しています。創業者はジャック・ティーリング氏。1782年からウイスキー造りを家業とするティーリング家で育ちました。

 

祖先のウォルター・ティーリング氏がダブリンのマローボーンレーンに蒸留所を建設したのが始まりで、2世紀にわたって成功を収めました。

 

Teeling Distillery ティーリング蒸留所
Teeling Distillery ティーリング蒸留所
photo credit: nairnmcwilliams Ireland 2017 6560 via photopin (license)

 

しかし、アイルランドのウィスキー市場を席巻したジェムソン家に売却され、その後、アイリッシュウィスキーへの需要減少により閉鎖してしまうんですね。

 

ジャック氏はキルベガン(Kilbeggan)カネマラ(Connemara)で知られるクーリー社の社長となり、ジム・ビームのビーム社(現在のビームサントリー社)によるクーリー蒸留所買収を機にクーリー社を退社します。

 

その後、グレートノーザンディスティラリーでグレーンウイスキーを造り、アイルランド各地にグレーンウイスキーを供給しながら、国内のクラフト蒸溜所をサポートしてきました。

 

そんななか、大手メーカーによる市場支配に懸念を抱いた彼は、インディペンデントの機運を取り戻すべく、ハンドクラフト&スモールバッチのアイリッシュウイスキーを造ろうと、2012年にティーリング社を設立します。

ダブリン市内に約125年ぶりにできたアイリッシュの蒸留所

アイルランドの蒸留所(非公開)と樽の供給に関する契約を結び、今後使用する樽を長期にわたって確保。独立瓶詰業者として活動しながら、自らの蒸留所を経営することも視野に入れました。

 

2015年春には彼の息子さんであるジャック&スティーブン・ティーリング氏が「ティーリング蒸留所」を同家とゆかりがあるダブリン市内に建設。

 

ダブリン市内の蒸留所がすべて閉鎖されてから約125年ぶりとか。伝統的な3回蒸留のポットスチル設備を持つマイクロディスティラリーで、大規模なビジターセンターも併設さています。

 

Rebecca 蒸留所のポットスチル・レベッカ
Rebecca 蒸留所のポットスチル・レベッカ
photo credit: nairnmcwilliams Ireland 2017 6554 via photopin (license)

ちなみに、3つの蒸留器の形も19世紀のダブリンの蒸溜所で使われていた形を参考に、イタリアのメーカーに依頼したもの。それぞれに「アリソン」「ナタリー」「レベッカ」と名前が刻印されていて、これは創業者ジャック氏の娘さんの名前なのだそうです。

 

ダブリン市内の有名な観光地、セントパトリック大聖堂に隣接したところで、現在は年間6万人が見学に訪れるという人気蒸溜所となっています。

 

ティーリング シングルモルトウイスキーの特徴

「ティーリング シングルモルト」は熟成年数表記のないボトル。蒸留所の稼働が2015年春ですから、まだ自前の原酒ではない可能性が高いですね。

 

とはいえ、樽の種類にはこだわりが感じられます。酒精強化ワインに使うシェリーワイン樽、ポートワイン樽、マデイラワイン樽。そして、白ワイン(ホワイトバーガンディ)樽にカベルネ・ソーヴィニヨン樽の5種類の樽でフィニッシュしたモルトをブレンド。

 

かなり意識してフルーティーな風味をつけたという印象が伝わってきますね。

 

St. Patrick's Cathedral ダブリンのセントパトリック大聖堂
St. Patrick's Cathedral ダブリンのセントパトリック大聖堂

価格とテイスティングレビュー

ティーリング シングルモルトはアルコール度数46度・700mlで、価格は送料入れずに5,000円前後。

 

一般的な評価はまだ少ないものの「樽の甘さ、ウッディな香りがありながら、ビター感は控えめ」「メロンの香りにバニラとドライフルーツの味」「白桃とシトラスがみずみずしい香り」など、中級者以上とみられる方の高評価のテイスティングレビューが見られます。

 

反対の感想にはノンエイジにありがちな「若さ(熟成の短かさ)を感じる」というもの。とはいえ、香りと独特の甘みに満足感があれば、こちらはあまり気にならなくなるようです。飲み口よりも香り重視というタイプですね。

 

ティーリングのラベルに描かれた鳥は「煙突から昇るフェニックス」が表現されているとか。アイリッシュの不死鳥として、大手を凌駕する風味をどんどん生み出してほしいと思います。