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オールドクロウ 歴史に名を残す博士とあの俳優さんを偲んで

「オールドクロウ (Old Crow)」はケンタッキー州クレアモントにある、ビームサントリー所有のジムビーム蒸溜所で造られているバーボンウイスキーです。

 

歴史の発祥はスコットランドからケンタッキー州のフランクフォートに移住してきた医師・化学者のジェイムズ・C・クロウ博士。

 

1835年に彼が創設したオールドクロウ蒸溜所で造られました。「サワーマッシュ製法」の生みの親としてもバーボン製造の歴史に名を残す人でもあります。

 

Frankfort ケンタッキー州フランクフォート
Frankfort ケンタッキー州フランクフォート

 

サワー・マッシュ(Sour mash)はウイスキー製造プロセスの名称ですが、特有の強い酸味と風味をもつ「サワードウ・ブレッド」というパンの製造過程に類似しているので、この名で呼ばれます。

 

バーボンの製造ではトウモロコシを主に、大麦や小麦などを別々に挽いたあとで湯に混合して、クッカーと呼ばれる鍋でまとめて煮沸・糖化されます。

 

このドロドロの液状物質が「マッシュ」。この時、仕込水とともに穀物に投入されるのが前回蒸溜の際に出た蒸溜残液です。

新しく糖化させようとする仕込み水に25%ほど加える方法が「サワーマッシュ製法」。発酵が過剰になるとバクテリアが大量繁殖し、バーボンの味を損ねる原因となる酸が生成されてしまいます。

 

クッカーの内部を理想的な酸度に整えることを目的としてサワー・マッシュ方式が使われるわけですが、「オールドクロウ」こそがサワー・マッシュ方式によって製造された記念すべき第1号なんですね。

 

オールドクロウは一時期、合衆国で最も売れるバーボンにまで成長しますが、クロウ博士の死後、20世紀後半に入ってサワーマッシュの工程を誤ったまま製造を続けたことで品質が落ち、急激な売り上げ低下を招いてしまいました。

 

wort 糖化過程で生成される麦汁
wort 糖化過程で生成される麦汁

 

1987年にかつてバーボン売上トップの座を争っていたビーム社に買収されると、製造工程や原料はジムビームに倣ったものに変わっています。

 

日本ではあのアクション俳優さんが愛飲者で、映画「遊戯シリーズ」の1シーンでもオールドクロウが登場しています。

 

一般的な評価ではファンの方や、低価格帯の常飲酒を探している方がお試しで飲んでみるというケースが多く、評価で目立つのは「香りは少なめ、深みはないがクセは少ない」といった感想。

 

オールドクロウは遊戯シリーズ3作目のこちらの映画に登場

 

価格もいまは1000円台前半と手頃ですから、好みで味が納得できればというところでしょう。飲み方はストレートやロックよりもハイボールがおすすめです。

 

オールドクロウの種類にはこのスタンダードのほか、「オールドクロウ・リザーブ」があります。通販では希少なオールドボトルですが、全盛期のオールドクロウが飲めます。