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ロンドンヒルドライジン・世界コンペが評価する1785年レシピの風味

ロンドンヒルドライジン・1785年の伝統レシピを再現

「ロンドンヒルドライジン(London Hill Dry Gin)」はスコットランド・エディンバラ近郊のブロックスバーンに本拠地を置くイアン・マクロード社が販売しています。

 

イアン・マクロード社は1895年創業ですが、「ロンドンヒルドライジン」の誕生は同社が生まれる100年以上前の1785年のラングレー蒸留所に遡ります。

 

ちなみに、1785年は世界最古の英国日刊新聞「タイムズ」が創刊された年なんですね。

 

この時代に生まれたドライジンをもとに「厳選された12種類以上のハーブやスパイスといったボタニカルを使用して、門外不出の秘伝のレシピによって作られた」とだけ発表されています。

 

スカイ島の画像
Isle of Skye スカイ島

複雑さと丸みが特徴のジン

昔ながらの伝統的なジンではレシピが非公開というところも多いですね。とはいえ、同社のホームページでは若干のヒントが明かされています。

 

レモン、スイートオレンジを含む柑橘類の皮、ジュニパーベリー、コリアンダーシードを含むボタニカルで、人工の風味、油、エッセンスは使われていないとのこと。

 

特徴は香りが爽やかで複雑な味わいがあり、47度というアルコール度数にも関わらず丸みがあって飲みやすいことがあげられます。

どちらかといえば、通好みのクラシックな味といったところでしょうか。ストレートで飲むのが好きな方もいれば、カクテルベースとして使う方もいます。

 

日本での一般的な知名度は低いですが、2000年、2001年、2003年とインターナショナル・ワイン&スピリット・コンペティション金賞を受賞している実力派です。

ロンドンヒルドライジンの価格とレビューの評価

「ロンドンヒルドライジン」はアルコール度数47度・700mlで、今日現在の最安値は1,500円前後。販売店によって価格幅があるので、このあたりの安値を見つけたら購入しておくとお得です。

 

一般的な評価ではマイナスを指摘する感想はとくにありません。

 

支持するレビューには「ボンベイサファイアよりスッキリでシンプルな香り。ジントニックで飲む事が多いですが、とても美味しい」「すっきりした味わいで好みのドライジン」「クリアな味でしっかりとジンの香り、味がする」「辛口でキレッキレのジンでした」などのレビューが見られます。

 

レモンとオレンジの画像

イアン・マクロード社の歴史

ブレンダー兼ボトラーズとして知られる同社オーナーのイアン・マクロード氏は、スコットランド北西部インナーヘブリディーズ諸島のなかで最も北方に位置する島、スカイ島の氏族として知られています。

 

同社は1895年にウイスキーのボトラーズとして創業しました。

 

近年ではイアン・マクロード社はグレンゴイン蒸留所オーナー、2011年にはタムドゥー蒸留所買収と、蒸留所経営にも乗り出しています。

 

同社が関与するボトルについて、蒸留所名を記載できるボトルはイアン・マクロード社、蒸留所名を記載できないボトルはスコティッシュ・インデペンデント・ディスティラーズ社と表示されています。

 

「タイムズ」の画像
The Times タイムズ

ボトラーズとは?オフィシャルとの違いは

ボトラーズとはインディペンデントボトラーズとも呼ばれる、独立した瓶詰め業者です。

 

通常、蒸留所ではそこで造られた複数の樽のモルトウイスキー(モルト原酒)を混ぜてシングルモルトウイスキーがつくられます。

 

しかし、ウイスキーの製造、瓶詰め、販路の確保までを含めると、たいへんな手間とコストがかかるんですね。

 

そこで、スコッチの蒸留所独特の文化として、2つの方法が生まれました。

 

ひとつは各蒸留所のマスターブレンダーが調整、そのまま蒸留所が瓶詰めまで管理する銘柄で、通常オフィシャルボトルと呼ばれます。

 

そして、もうもうひとつが「ボトラーズブランド」。つまり、瓶詰め業者が蒸留所から原酒を購入したうえで、独自の熟成を行って瓶詰めして自社のラベルで販売するもの。

 

蒸留所からするとボトラーズブランドに瓶詰めや販売を任せれば、製造だけに集中できるというメリットがあるわけですね。

 

ウイスキー樽の画像

同じ原酒でも仕上がりが違うおもしろさ

ウイスキー初心者の方は、同じ蒸留所の名前のついたウイスキーがいくつも違うラベルで販売されるので混乱するかもしれませんね。

 

判断しかねる場合は、ボトルの販売元を確認するとわかります。蒸留所の名前か、あるいは傘下に入った大手メーカーの名前のあるのがオフィシャルです。

 

オフシャルとボトラーズは熟成のしかたが違うので、同じ原酒でも異なった味わいになります。

 

オフィシャルという言葉は「公認の」「公式な」という意味で、日本で認識されがちな「正式」「本物」という解釈とはちがいます。

 

ウイスキーにおいてはオフィシャルだから本物、ボトラーズだから格が落ちるなどということはなく、むしろ、同じ原酒をどうアレンジするかを腕の見せどころとして、特徴を競い合っているのがおもしろいところなんですね。