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キルベガン サントリーが復活させた蒸留所のアイリッシュウイスキー

カネマラのクーリー蒸留所(サントリー社所有)による復活

「キルベガン(Kilbeggan)」はブルスナ蒸溜所の代表銘柄を、クーリー蒸留所が復活させたブレンデッドアイリッシュウイスキーです。

 

ブルスナ蒸溜所はアイルランドのウェストミーズ州キルベガンにあり、1757年に創業しているアイルランドでも最古の蒸留所です。

 

ブルスナ川沿いにあったためにその名で呼ばれていましたが、のちに所有者が変わってロックス蒸溜所、さらに現在はビームサントリーが所有していて、地名のキルベガン蒸溜所と呼ばれています。

 

Kilbeggan Distillery キルベガン蒸溜所
Kilbeggan Distillery キルベガン蒸溜所
photo credit: sander_123 Locke's Whiskey Distillery via photopin (license)

最古のアイリッシュウイスキー、キルベガンの再稼働

キルベガンとはゲール語で「小さな教会」の意味があります。6世紀にアイルランド12聖人の一人、聖ベガンがこの村に修道院を建てたことに由来します。

 

最古の蒸留所といえばオールドブッシュミルズ蒸溜所の1608年が話題になりますね。でも、実際には町ぐるみの蒸溜酒づくりが始まった年を意味しているそうなので、正確には最古はブルスナ蒸溜所となるのでしょう。

 

1757年に蒸留ライセンスを取得してウィスキーの蒸留をはじめたロックス蒸溜所時代には最盛期を迎え、19世紀後半には年間90万リットル近いウィスキーを生産していました。

しかし、アメリカの禁酒法に始まる「アイリッシュウイスキー苦難の歴史」とともに衰退、1957年には蒸留所が閉鎖されてしまいました。

 

その後、放置されていた蒸留所に手が入ったのは1980年代前半。地域の町興しとして蒸留所をビジターアトラクション(博物館)として残すように改修しています。

 

1987年になると北アイルランド国境に近いダンダルクに設立された、「カネマラ(Connemara)」で知られるクーリー蒸留所が所有権を得て、2007年になって250年ぶりにウイスキーの生産を復活させました。

 

昔ながらの小規模な生産風景が見学できる蒸留所

施設の規模が小さいので麦汁の発酵や1回目の蒸留まではクーリー蒸留所で行い、そこで得られた初溜液をキルベガン蒸留所に運び、2回目の蒸留のみを行うという体制が取られているとか。

 

また、クーリー蒸留所で蒸溜した一部の原酒をキルベガンの貯蔵庫で熟成させたりもしているそうで、いずれは初溜から造る計画があるようです。

 

2012年になるとクーリー蒸留所、キルベガン蒸留所ともにジム・ビームのビーム社に買収され、ビーム社は2014年にサントリーに買収されたため、いまは2蒸留所ともにビームサントリー社の傘下となっています。

 

Westmeath Catstone ウェストミーズ州のキャットストーン
Westmeath Catstone ウェストミーズ州のキャットストーン

 

キルベガン蒸留所は動力である水車の歯車が音を立てて動き、小規模ながらも伝統の古い蒸留設備が現役でウィスキーを造っていて、見学者はそれを見て回れます。

 

ウィスキー評論家であるジム・マレー氏をして「キルベガンを見ずしてウィスキーを語るなかれ」と言わしめた、ほかの蒸留所にはない長い歴史の重みが体験できます。

 

キルベガンの価格とテイスティングレビュー

キルベガンはアルコール度数40度・700mlで、価格は送料入れずに1,800円前後。旧ボトルのキルベガンもまだあって、こちらも現行品と数百円の違いなので狙い目です。

 

一般的な評価は「独特のクセがなく、スゥ~ッと飲める甘いウィスキー」「ジェムソンが一番と思っていましたが、コレは美味しかった」「淡麗で爽快」などのテイスティングレビューが見られます。

 

いっぽうでは「サラサラ飲めてしまってクセがない」とアイリッシュウイスキーにありがちな評価もあります。とはいえ、クセやスモーキーさが苦手なウイスキー初心者の方にとっては飲みやすいボトルだと思います。