· 

「ビーフィーター ジン」伝統のセビルオレンジレシピでトニックを

「ビーフィーター・ジン(Beefeater Gin)」はイギリス・ロンドンのケニントン地区モントフォード・プレイスにあるビーフィーター社の蒸溜所で造られています。

 

近年のクラフトジンの蒸留所ではロンドンに拠点を置いてロンドン・ドライ・ジンを造る蒸留所も出てきましたが、創業以来、ロンドン市内で蒸留を続けている老舗といえば、ビーフィーターですね。

 

蒸留所の歴史はチェルシーにはじまり、ランべスへ移転、1958年に現在のケニントンに移っています。ちなみに、007のジェームズ・ボンドはチェルシーに住居を構えている設定だそうです。

 

Chelsea チェルシー
Chelsea チェルシー

 

ビーフィーター社の創業は1820年。英国南西部のデヴォン州出身の若き薬剤師、ジェームズ・バロー氏がカナダのトロントで薬局を経営して成功したことに始まります。

 

トロントからロンドンへ戻った彼は、古い蒸溜所「チェルシー蒸溜所(Chelsea Distillery)」を買い取り、ジン、キュラソー、チェリー・ブランデーなどのリキュールを製造しはじめました。

 

ジンではボタニカルの配合に研究を重ね、1879年にジンで初めてセビルオレンジ(Seville Orange)のピールを使うというレシピで、力強く柑橘系のフレーバーが豊かなビーフィーター・スタイルを完成させます。

セビルオレンジはスペイン・アンダルシア州セビリアで栽培されてるので、セビリアオレンジとも言われます。

 

産地のスペインではエッセンシャルオイルや医薬品の材料に使われるくらいであまり消費されず、ほとんどイギリスに輸出されるそうです。

 

このセビルオレンジは硬い皮と苦味が特徴で、生ではとても食べられません。でも、イギリスの朝食に欠かすことの出来ないマーマレードをこのビターオレンジでつくるのがイギリス文化として定着しているんですね。

 

ちなみに、マーマレードの由来はスペインからセビルオレンジを積んだ船がスコットランド北東部の港ダンディで難破しかけたことがきっかけです。

 

Seville Orange セビルオレンジ
Seville Orange セビルオレンジ

 

貨物船の船長は積み荷にあった大量のセビルオレンジを町で小さな食料品を営むジェームス・キーラー氏に二束三文で売ってしまいます。

 

買い取ったセビルオレンジをなんとかしようと、ジェームスの妻ジャネットさんはオレンジの砂糖煮を作ろうと考え、大量のオレンジを荷馬車で運ぶために一人息子のメアーさんを手伝わせようと呼びました。

 

そのときの「Mair,Ma lad!(メアー、私の息子よ!)」が、マーマレードの語源になったのだとか。

 

marmalade マーマレード
marmalade マーマレード

 

のちにマーマレードはイギリスの食文化として定着。英国から輸出されて世界に知られることになりました。

 

ジェームズ・バロー氏はこの身近なセビルオレンジに着眼。自分の造り出したジンをロンドンの象徴にするため、ロンドン塔のガードを務める国王衛士のニックネーム「ビーフィーター」を命名しました。

 

ボタニカルにはジュニバーベリー、セビルオレンジピール、アーモンド、オリスの根(アイリスの種類の根茎)、リアンダーの種、アンジェリカの根、リコリス(甘草)、アンジェリカの種、レモンピールが使われます。

 

Beefeater ビーフィーター
Beefeater ビーフィーター

 

製造ではグレーンスピリッツをアルコール度数60%に調整したあと、ボタニカルを加えてポットスティルで24時間浸漬。

 

それから7時間かけて蒸溜して、ヘッド(流出液の最初の部分)とテイル(最後の部分)はリサイクルせずにハート(中間部分)だけが瓶詰めされます。

 

40度、47度がありますが、両者の違いは40度よりも47度のほうがしっかりした味わいと飲みごたえを感じられるため、多くのバーでは47度が使われます。

 

ビーフィーター社は現在、フランスに本社を置く世界的酒造メーカー・ペルノ・リカールの傘下。日本ではサントリーが輸入及び国内販売権を取得して、販売をしています。