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オーヘントッシャン12年 ローランド伝統の3回蒸溜による繊細な風味

オーヘントッシャン12年 ローランドを代表するシングルモルト

「オーヘントッシャン12年(Auchentoshan 12 Years Old)」の風味の特徴と評価について解説します。

 

オーヘントッシャン12年はスコットランド・グラスゴーのダルミュア地区、クライド川のほとりに建つオーヘントッシャン蒸溜所(サントリー傘下)が造っているシングルモルトウイスキーです。

 

ウイスキーの生産地として名高いローランド地域に属していて、なかでもオーヘントッシャンはローランドモルトの特徴である「軽やかでライトな味わい」の代表格。

 

オーヘントッシャン(Auchentoshan)とは「野原の片隅(the corner of the field)」を意味するゲール語「achadh an t-oisein」が語源で、愛飲者からは「オーキー」という愛称でも呼ばれます。野原の片隅という名前通り、穏やかで繊細な味わいです。

 

オーヘントッシャン蒸溜所の3つのスチル
オーヘントッシャン蒸溜所の3つのスチル

特徴は昔ながらの木桶発酵槽と伝統の3回蒸溜

「オーヘントッシャン」の特徴のひとつめは、ピート香の軽い麦芽を厳選し、昔ながらの木桶発酵槽を使っていること。発酵は酵母や乳酸菌の力を借りて、アルコールやさまざまな香味成分を含んだ発酵液をつくり出す工程です。

 

木桶は保温性に優れているので、発酵の段階で酵母が働きやすい温度を保つのに役立ちます。また、木桶を使うと乳酸菌が棲みつき、さまざまな香味が現わる効果があります。

 

もうひとつの特徴が3回蒸溜。キャンベルタウンにあるスプリングバンク蒸溜所の2回半蒸留、アイラ島にあるブルイックラディ蒸溜所の4回蒸留「X4」などもありますが、一般的なスコッチモルトは基本的に2回蒸留で造られます。

これはオーヘントッシャン蒸留所が属するローランド地方のモルトが、伝統的に3回蒸留を行ってきた歴史にも関連しています。精製されるアルコールをすべて使いきるために生まれた手法であり、伝統がいまも守られているんですね。

 

通常はウォッシュスチル(初留釜)・スピリットスチル(再留釜)の2つのスチルだけですが、3回蒸留ではこの間に、インターメディエイトスチル(後留釜)を設置します。

 

アルコール度数7~8%のウォッシュは初溜で19~20%、中溜で54~56%、最後の後留釜を出たときには81%まで精製されます。

 

Glasgow グラスゴー
Glasgow グラスゴー

 

また、再留や後留で抽出された蒸留液の一部は、次回の再留・後留の際に混ぜ合わされて、再び蒸留される仕組みにもなっています。

 

蒸溜後のスピリッツは水を加えて63.5%に下げた後、バーボン、シェリー、ポートなどの樽に詰めて熟成されます。こうして、軽やかでクリアな風味のスピリッツにフルーティーな個性が与えられます。

 

今回紹介する「オーヘントッシャン12年」はバーボン樽とシェリー樽で熟成した原酒によるバッティング。

 

アーモンドやカスタードクリーム、オレンジなどのフレーバーが複雑に味わえて、オーヘントッシャンの種類のなかでも、最も繊細なボトルです。

 

River Clyde 蒸留所のあるクライド川
River Clyde 蒸留所のあるクライド川

テイスティングレビューと価格

オーヘントッシャン12年はアルコール度数40度・700mlで、相場価格は3,500円(税込)前後。定価の目安となるサントリーの希望小売価格が4,000円なので、いまのところ価格高騰もなく購入できる安心銘柄です。

 

アイリッシュウイスキーもそうですが、3回蒸留で繊細な風味なので個性を感じないという感想を持つ方もいますが、テイスティングで後味の良さを高く評価する方もいます。

 

「柑橘系の味わいが楽しめるお酒」「後味が辛く喉にキュッとくる。それが安物の酒のようではなく心地よい感じ」「スモーキーなのが苦手な私でも、これは美味い一品」「味もさることながら、後から鼻にくる香りが最高」などの感想が見られます。

 

軽やかで都会的な味わいと称されるオーヘントッシャン12年。ガツン系がお好みでない方向けのローランドを代表する優しい銘酒です。