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ヘイマンズオールドトムジン あのカクテルに使いたい、甘い黒猫ジン

ヘイマンズ オールドトムジン 黒猫の甘いジン

「ヘイマンズ オールドトムジン(Hayman's Old Tom Gin)」は年老いた黒猫(雄)が目印の甘いジンです。2004年に世界中のバーテンダーなどから依頼されて、1800年代のレシピそのままに復刻されました。

 

カクテルのレシピやその歴史などを紹介します。オールドトムジンはドライ・ジンよりも若干甘く、オランダのジェネヴァJeneverよりも若干辛いのが特徴です。

 

雑味のないドライジンが登場する以前、当時まだ雑味が多かったジンの風味を抑えるために、サトウキビ由来であるスピリッツを1~2%加えて隠し味をつけて、まろやかさ、甘みを出していました。

 

London ロンドン
London ロンドン

カクテルのトム・コリンズ 本格的な作り方はオールドトムジンで

オールドトムジンのカクテルで有名なのがトム・コリンズ。19世紀半ば、ロンドンの「リマーズ・コーナー」という店のボーイ長、ジョン・コリンズ氏によって考案されました。

 

はじめはオランダ産のジェネバ・ジンを使い、自分の名前から「ジョン・コリンズ」と名付けていました。

 

やがて、甘味のあるオールドトムジンをベースにするようになり、2つを区別するために「トム・コリンズ」という名前がつけられたんですね。

 

カクテルブックにはドライジンを代用して砂糖、レモンを入れてシェークというレシピをよく見かけますが、本来の作り方はオールドトムジンをベースにレモンジュースを入れて、ソーダで割るというもの。

 

オールドトムジンはもともと甘いので砂糖を入れる必要もなく、シェークする必要もありません。ヘイマンズ オールドトムジンを購入したら、ぜひ本来の飲み方で楽しんでみてくださいね。

オールドトムジンの歴史

カクテルのトム・コリンズをつくるとき、イギリス産のオールドトムジンを使うようになってからこちらが一時期、主流になりました。

 

ですが、ドライジンが登場して、さらに第二次世界大戦以後になるとドライジンをベースとしてトム・コリンズを作るのが多くなっています。

 

オールドトムジンの名前の由来は18世紀の英国です。当時は産業革命が始まり、仕事を求める農村部の人々が都市部に集中しました。

 

ところが、職にありつけない労働者も多く、彼らは当時の粗悪な製法による安価で質の悪いジンを求めます。

 

黒猫

規制にBarは黒猫の看板で対抗

当時は産業革命の影響でロンドンの水質は悪化。貧しい人々は水よりもアルコールを口にせざるを得ないという深刻な実情もありました。風刺画「ジン横丁(Gin Lane)」には人々がジンに溺れる情景が描かれています。

 

その後、英国政府は治安の悪化を懸念して、ジンの製造を規制しますが効果なく、至るところでジンの密造や密売が始まります。

 

密売所の店先には目印として「オールド・トム」の看板が掲げられるように。英国では雄猫を総称してトム・キャットと呼ばれることから、年老いた雄猫がオールド・トムという名前になったとされています。

 

看板の黒猫の前足には金銭を中に入れる隙間と鉛管が設けられていて、お金を入れるとこの管から1ショットのジンが流れてくる仕掛けになっていました。

 

レモン

時代を超えて再評価される風味

安価で人気が高かったオールドトムジンですが、やがて連続式蒸溜機(パテントスチル)の開発によって生まれた、雑味の少ないドライジンの登場によって衰退。イギリスで生産されなくなりました。

 

その流れを止めたのが、老舗のヘイマン社(ヘイマン・ディスティラリー)です。代々受け継がれてきたレシピと製法を今も守り続ける同社は、1800年代のレシピを復刻してリリースします。

 

復刻とともにオールドトムジンは再評価され、以降、そのほかの企業も製造するようになりました。雄猫の絵をボトルに入れる企業は多いようですね。